ビジネスでも子育てでも、人間が成功しようと思ったら、成功まで導くモチベーションを維持する必要があります。

そんな悩みを解決してくれるヒントとなるのが「内発的動機づけ」です。
私たちは「やる気」といっても、そのやる気の正体がどのようなものなのか、よく分かっていません。
なんとなく「やる気」と言っているだけで、それがどんな性質なのか、どうやったらやる気が出るのかを説明できる人も少ないです。
実は、「内発的動機づけ」を学ぶと、このやる気の正体が分かってきます。
この記事では、やる気を維持するために必要な「内発的動機づけ」を、例を用いながら説明します。
また、「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」の違いも解説します。
この記事で「内発的動機づけ」を学ぶと、こんなことが簡単に解決できます。
・なんだかやる気がでない。
・子どもが全然勉強してくれない。
・自主的に勉強するためには、どうしたら良いのか?
人間のモチベーション維持に欠かせない、「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」について例を用いて解説します。
内発的動機づけと外発的動機づけはどちらが大切なの?
では、「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」はどちらが大切なのでしょうか?
結論:どちらも大切!
もちろん望ましいのは、子どもが自ら行動する「内発的動機づけ」です。
しかし現実には、全ての子どもが「内発的動機づけ」を持っている状態とは考えられません。
だから、「外発的動機づけ」を大切にしつつ、「内発的動機づけ」を目指すのが理想です。
そして、実は「動機づけ」には段階があります。
その段階に応じて、子どもへの接し方が変わってきます。
動機づけが全くないゼロの状態の子どもと、完全に自主的に動けるような100の状態の子どもには、接する方法が違います。
まずは、内発的動機づけと外発的動機づけがどんなものかを説明したいと思います。
内発的動機って?
まず、内発的動機づけってどのようなものなのでしょうか。
内発的動機づけとは好奇心や関心によってもたらされる動機づけであり、賞罰に依存しない行動である。(引用:Wikipedia)
簡単に説明すると、行動する理由がアメやムチによってではなく、単純に行っている行為そのものに興味や関心がある状態のことです。

好きなことをする時には、やる気満々ですよね。
「内発的動機づけ」の例
では、内発的動機づけは、例えばこんな感じです。
事例1:勉強が好きな同級生
私が小学校の時、クラスで勉強ばかりしている同級生がいました。
周囲のみんなは「なんであんなに勉強しているんだろう」と感じていました。
その同級生に聞いてみると、「勉強すること自体が楽しかった」と言っていました。
この「やっている行為が楽しい」というような状態を内発的動機づけと呼びます。
事例2:長男の習い事
私の長男はバスケットボールをしており、週に4回も練習があります。
毎日楽しそうに練習をしているので、一度も行きたくないと言ったことがありません。
バスケットボールをすることに対して、特にご褒美をあげたこともありませんが、毎日楽しそうに練習しています。
内発的動機づけとは、「バスケットボールそのものが楽しい」というような、行っている行為が楽しいと言うような状況のことを指します。
上記の2つの例のように、行為(勉強やバスケットボール)そのものに興味関心があり、好きであったり楽しかったりすることは、「内発的に動機づけ」になります。
外発的動機づけとは?内発的動機づけとどう違いの
では、内発的動機づけのとは反対の外発的動機づけについて解説します。
外発的動機づけとは義務、賞罰、強制などによってもたらされる動機づけである。引用:Wikipedia
行為そのものには興味関心がないですが、その行為以外にはっきりとした目的や報酬がある状態を指します。
外発的動機づけの例!
外発的動機づけは、例えばこんな感じです。
外発的動機づけの事例1
・勉強ってめんどくさいな。でも、先生や親が「勉強しなさい」ってうるさいから、とりあえずやっておこうか。
→勉強のやる気はないけど、怒られるのが嫌だから勉強する状態。
・もうすぐ夏休み。しっかりとトレーニングをして、女の子をナンパしようかな。
→筋トレに興味はないけど、女の子にはモテたいので頑張ろうかな!
・将来大学に進学したいから、今のうちに勉強しておこうかな。
→勉強が好きではないけど、将来に役立つから勉強しよう。
このような状況は、行っていること(勉強やトレーニングなど)に動機や目的はありません。
行動の動機が、行為そのもの以外(女の子にもてたい、大学に進学したい、面倒くさいことから逃げたい)にあります。
このような状況を「外発的動機づけ」と呼びます。
外発的動機づけの事例2
我が家の3兄弟は、3歳からスイミングを習っています。
バスケットボールと違い、子どもはあまり乗り気ではなく、月に1回くらいは、泣きながら「辞めたい」と言っています。
私はその度に、
- 健康にいいから。
- 体が強くなるから。
- 小学校に入学したら、水泳大会があるから。
などと、もっともらしい理由をつけて説得しています。
このような外からの働きかけにより行われるような行為は、典型的な外発的動機づけに含まれます。


次に、動機づけの4つの段階を解説します。
動機づけの4段階
学校の授業を教えていると、同じ授業を受けているのに、活発に授業に参加している子どももいれば、窓の外をぼーっと眺めている子どももいます。
これは単に、学習に対するモチベーションや動機づけの差です。
この動機づけですが、大きく分けて4つの段階があります。
まずは、下記の説明を基準に、子どもがどの状態なのかを見極めて下さい。
分かりやすいように勉強を例にしてみましょう。
動機付け0%:動機づけが全くない状態
・「勉強?何それ。勉強する時間があったら、とにかく遊ぼうよ!」
→勉強に全く興味関心がなく、さらに親や周囲からの働きかけもない。いつまでたっても勉強するようにならない状態。
動機づけ30%:否定的な外発的動機づけ
・「親が勉強しろってうるさくて、怒らせると夕飯抜きになるから、一応机に座っておこうかな」
・「テストの点数が下がったら、お小遣いもらえなくなるから、仕方ないけど勉強でもしよう」
→「勉強しなさい」と言われたり、勉強しないと罰を与えられる。外部からの否定的な刺激によって行動している状態。
動機づけ70%:肯定的な外発的動機づけ
・「勉強やってて損したことはないって親が言ってたし、自分の将来のためにもなるので、頑張ってみようかな」
・「試験勉強を一生懸命して、絶対に大学に合格したい」
→もともと勉強はしたくなかったけど、やっている中で自分に必要なことだと感じられ、自主的に勉強するような状態。
動機づけ100%:内発的動機づけ
・「自分の知らないことが分かるし、疑問に思っていたことが解決されるし、勉強って本当に楽しい」
・「勉強って楽しいのに、なんでみんな勉強しないんかなぁ~」
→外からの働きかけがなくても、自らが自主的に進んで勉強している状態。
目指すべきは「内発的動機づけ」
動機づけに関して4つの段階があることは、ご理解いただけたと思います。
最終的には、100%の状態である内発的動機づけに移行させることが目的となります。
勉強でも運動でも内発的動機づけの段階になれば、自ら行動できるようになるからです。
子どもは、興味関心があるものに対しては、何も特別なことをしなくても、内発的に動機づけられた状態になっています。
しかし、勉強に関して言うと、全ての子どもが内発的動機づけの段階にいることは滅多にありません。
そんなときは、親や周囲からの適切な働きかけがなければ、内発的動機づけに移行することはありません。
・親が子どもに対して様々な働きかけして、モチベーションを維持しながら「内発的動機づけ」まで引き上げることが重要。
・外からの働きかけや手立てがなければ、子どもに自主性が生まれることはない。
「子どもの自主性を大切にする」と言って、最初から子どもの自主性に任せてしまう人もいます。
しかし、子どもの自主性にまかせた結果、逆に自主性が育たないという悪循環に陥ることになります。
内発的動機づけを高めるためにはどうしたらいいの?
では、内発的動機づけを高めるためにはどうしたらいいのでしょうか?
勉強に一切興味や関心がなく、今まで勉強に関して何も言われてこなかった子どもに対しては、残念ながら特効薬ありません。
動機づけの4段階を参考に説明します。
分かりやすいように勉強を例にします。
動機付け0%:動機づけが全くない状態
この状態の子どもには、「勉強って楽しいから、騙されたと思って、少しでもしてみよっか」と、少しでも好きになってもらえるように働きかけます。
少しでも勉強に興味が出てきたらチャンス。
自主性のない子どもは、自主性に任せていてはダメなので、興味が出てきたら子どもと一緒になって勉強に取り組む必要があります。
動機づけ30%:否定的な外発的動機づけ
一緒になって取り組むのが苦にならなくなってきたら、次の段階です。
次は、勉強の必要性や楽しさを説明しつつ、ある程度子どもの前にニンジンをぶら下げてると効果が期待できます。
- 算数のテストで80点取ったら、ご褒美をあげる。
- 漢字テストで満点になったら、好きなもの買ってあげる。
- 問題に正解したら、思いっきりほめて、ご褒美をあげる。
- 問題を採点し、コメントを付けて返してあげる。
上記のような取り組みで、だんだんとモチベーションが維持されます。
動機づけ70%:肯定的な外発的動機づけ
ここまでくれば、ほぼ大丈夫です。
自分から勉強してくれるようになります。
- 自分自身の将来を見つめさせ、将来と現在の勉強を結び付ける。
- 自分の夢を実現するためには、勉強が必要なことを理解させる。
- 成績が向上すると、どんなメリットがあるのかを説明する。
このように、周囲からの適切な刺激を与えることで、より高いモチベーションが維持できます。
この肯定的な外発的動機づけを継続すると、やがて内発的動機づけに移行するようになります。
子どもは自立(自律)へと向かいます。
まとめ
幼い時から何事にも興味や関心を持ち、勉強が好きな子どもがいることは事実です。
しかし、多くの子どもはそうではありません。
勉強に対してモチベーションがない子どもは、親や周囲の大人からの適切な働きかけがなければ、自主的に勉強するようにはなりません。
そのためには、まず、子どもが動機づけのどの段階にいるのかということを正確に把握することが必要です。
その後、子どものモチベーションの段階に合った働きかけをしてみましょう。
「子どもが全然勉強しない」と嘆くより、動機づけについて理解を深め、外発的動機づけから内発的動機づけに移行するような工夫をしてみましょう。
自主的に動ける「内発的に動機づけられた子ども」に育つように取り組んでいきましょう。

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